技術紹介

電気料金に影響する託送料金ってなに?


電気料金の内訳と託送料金?

電気の小売事業者が販売している電気料金の内訳をご存知ですか?
大きく分けると、発電に掛る費用と、送配電に掛る費用(これを託送料金といいます)に分けられ
ます。 電気の小売事業者は私たちが支払っている電気代の中から、この費用を「送配電事業
者」と「発電事業者」に支払っています。 電気料金に託送料金が反映されている訳です。

この託送料金ですが、実は 2020年の電力の自由化で発送電が分離された後も国の規制対象
になっています・・・なぜでしょうか?

それは託送料金が電気事業の競争基盤である送配電ネットワーク(電力の送配電網)の利用料
金だからです。 自由化後は大手電力会社も、発電部門・送配電部門・小売り部門に分割され、
この小売り部門の事業者が同様に費用を支払うことになります。 要は全ての事業者が利用す
るので公正性が必要だからなんですね。

電力の地産地消を促進する費用負担?

託送料金/ネットワーク費用の内訳は、全体の約半分が送電で、残り半分が配電にかかる費用、
この中には、電力需要に応じて適時適切な整備をする費用の負担も含めて回収されています。

ところで、この送電に掛る費用で問題になってくるのが、新しく発電所が計画された場合の立地で
す。 大都市のような需要場所に、発電所が近ければ設備費はあまりかかりませんが、遠い場合
には多額の費用が掛かります。 託送料金/ネットワークの整備費用は地域によって大きな差が
出て来る場合があることになります、料金の地域差と不均衡ですね。 また、費用が増えるという
ことは⇒当然託送料金の原価が増えて、電気代にも影響する事になります。

そこで、公正性が求められている託送料金の原価が増える事を抑制するために、2020年度から
は発電事業者もネットワークの費用を負担する制度に変更する方針のようです。 また、これには
今後、再生可能エネによる分散型の発電設備が普及して,地産地消の取り組みが広がることによ
り、発電所の立地、地域性を考慮した託送料金の制度も考えられているようです。

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託送料金にも廃炉費用!?

実は、託送料金には今後に気になる部分がもう一つあります。
託送料金の原価には現在、原子力発電に関するコストは含まれていません、もちろん廃
炉費用もです。

廃炉費用は基本的に、今まで通り稼働中や再稼働を目指す原発に限っては原発事業者
である大手電力が電気料金から費用を徴収して積立しています。
(これも電気料金に入っていたの…という方はまさかいらっしゃらないですよネ)

しかし、2020年度に電気料金が完全自由化されたとき 「想定外の自主的な廃炉をする
原発の廃炉費用の不足分が回収できなくなる恐れがある」 と心配する経産省が 2020年
以降も原発の廃炉費用を確実に徴収する手段として、電力の小売りに新規参入した新電
力にこれを負担させることが必要と判断したようです。

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この廃炉費用の負担を回収する方法として、新電力が大手電力の送電網を利用する際の
託送料金に上乗せする形で回収しようとしていますので、結果、電気料金に反映されて、
私たちの家庭が負担する事になる訳ですね。

託送料金と一括りで表現していますが、中身は意外と複雑に出来ているのです。

 

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